日本のバレンタインデーの特徴と市場規模@神澤氏の調査結果

最終更新日 2024年2月26日 by sangaku

1,バレンタインデーの文化や背景

2月14日はバレンタインデーで女性が男性にチョコレートをプレゼントするという文化が一般的ですが、これはいつ頃始まったのでしょうか。

まず最初に知っておくべき事として、バレンタインにチョコレートを贈るという行事は日本の独自の風習となっています。

なぜチョコレートを贈るようになったのか、またそれはいつ頃なのかは諸説あるのですが、鍵を握っているのは日本のお菓子メーカーのようだと業界に詳しい神澤光朗氏は語っています。

まず挙げられるのが、1936年に洋菓子の会社であるモロゾフが打ち出した広告に「バレンタインにはチョコ」という言葉があったようです。

そして1958年には新宿の伊勢丹本店において、洋菓子会社のメリーが「バレンタインセール」のキャンペーン企画を開催しています。

さらに1968年には輸入雑貨店のソニープラザが、チョコをプレゼントする行事をブームにしようと仕掛けています。

これらの事を総合すると時期的に一番早いのはモロゾフの広告で、行事として流行させようとしたのがソニープラザという事になりますが、いずれにせよどの会社も現在のバレンタインの基礎を作り上げたと言えるでしょう。

このような取り組みがある中でもすぐには浸透しなかったようで、一般的に定着してきたのは1970年代以降とされています。

その後は2月の定番行事として一般化していき、本命チョコの他にも義理チョコなど多様化して定着していきました。

様々なチョコを確認してみるとまず「友チョコ」という種類があり、男性女性に関わらず友達同士で贈り合うという物です。

また2010年代に流行ったのが「逆チョコ」で、その名の通り男性側から女性側にプレゼントするという形です。

その他にも色々とあるようですが、大ブームまでには至っていないのが現状と言えます。

 

2,経済効果をもたらしているバレンタインデー

バレンタインデーの市場規模を見てみますと、2019年においては推計1260億円となっており、大きな経済効果がある事が特徴です。

しかしこの数字は2年連続で減少していますので、大幅な成長は見られていないようです。

ではなぜこのような減少傾向となっているのかを考察すると、まず考えられるのが義理チョコなどを会社や学校で贈るのが、多少義務的に感じられているという部分があると思われます。

本来(日本独自ではありますが)は、女性が意中の男性に本命チョコを贈るという風習だったものが、徐々に義務的に贈るようなイメージに変化していき、経済的な負担もある事から見直しするような動きも見られています。

合理化という面からもお歳暮やお中元の市場規模が減少しているようですが、バレンタインデーにおいても同様の傾向が当てはまるでしょう。

また近年はコストパフォーマンスを重視する消費者が増加していますので、チョコレートの単価自体が安くなっている事も多少なりとも影響しています。

しかしその一方でプレミアム感を重視した商品が、バレンタインデー限定で発売される事もあり、プレゼントとしてはもちろんですが、自分用に買い求める方やスイーツ男子という層からも支持されているようです。

そしてバレンタインの市場規模が縮小していった要因として「恵方巻き」の存在が見逃せません。

2月の定番行事という人気を誇っていたのがバレンタインですが、2000年代に入ったあたりから節分の恵方巻きという風習が注目されていき、コンビニやスーパーなどでも大々的に売り場展開する事が増えました。

店舗側はこの恵方巻きの準備や仕入れに力を注ぎ、バレンタインに注力する比重が少なくなったとされています。

またマスコミなどのメディアも、2月に最初に訪れる行事の恵方巻きを取り上げるので、どうしてもバレンタインの存在感が薄くなってしまう事があります。

 

3,データから見るバレンタインデー

そして毎年データが増減する事の影響として、バレンタインデー当日の曜日関係が挙げられるでしょう。

例えば当日が日曜日の場合は学校や会社が休みの場合が多く、いわゆる義理チョコを購入する機会が減少します。

これが月曜日となると、土日の買い物客のついで買いという販売効果も期待できるのが少なからず関係しています。

このような理由で市場規模が減少してはいますが、2010年代でのデータでは毎年1200億円以上の規模を維持しているのが特徴です。

この規模はここ数年上昇傾向があるハロウィンと同程度の数字となっており、バレンタインデーの市場規模がまだまだ大きいという印象があります。

こういった数字を残せているのは、各お菓子メーカーの工夫された販売戦略や、取り扱い店舗の購買意欲を促す販売方法などの背景があるでしょう。

ハロウィンなどは老若男女問わずに参加できるイベントでもありますが、バレンタインは基本的に女性が消費する行事という事を踏まえると、いかに市場を動かしているのかが分かります。

日本に風習として定着し始めたのが1970年代とすると、約40年以上もの間根付いている文化です。

これだけ歴史があるという事は、日本人にとって定番のイベントでもありますので、容易に基板は揺るがないと想像できます。